アントワープファッション展(6+)

とてもよかったー。ファッションの中でもとりわけモード系というのかな、ファッションショー文化が栄え始めた頃からの歴史、背景、いろいろなコネクション、リレーションが見えて実に面白かった。きっと私がこれらの事について詳しくしらなかったせいもあって、余計に楽しく感じてしまったのかもしれないけれど、普段からファッション界をよく知っている人が見ても意味あるものなんじゃないかな。雑誌とかでペラペラ、パラパラと、その瞬間の流行とか発信しているものは見える(見た気になってる)。けれど、こういう展示会って「コレクション」だけあって、ちゃんと目的やテーマに沿ってキレイに整理されて、その塊がまとまって頭に入ってくるから、やっぱりちゃんと頭に入るし記憶に残るんだよね。それが美術館や展示界の本当にいいところだよね。特に私のようなあっちもこっちものミーハー人間にはとっても素晴らしい場なのでございます。感謝!

タイトルに「アントワープ」とあるのだから、もちろん主題はアントワープ王立美術アカデミーファッション科に関係のあるデザイナーさん達です。ほとんどのデザイナーさんは私は知りませんでした。かろうじて知っていたのはドリス・ヴァン・ノッテンマルタン・マルジェラくらいかな。でも展示された実際の作品(服)をまじかに見てみると、やっぱりすごいよ!キレイだよ、かっこいいし、面白いし、楽しさが伝わってくる。ユーモアもあるし、風刺もあるし、その中に各デザイナーさんのオリジナリティもあって、「あ、服って、普段着れるか着れないかじゃなくて、美術作品なんだ」って初めてちゃんと分かった気がする。その観点で見てみると、肩幅が妙に強調されていて一見気持ち悪い服とか、服の袖が髪の毛で出来ていたりする服とか、ブラインドでできた服とか(ブラインドのopen/offで服の模様が変わるのだ!)も、「こりゃ、すごい」と思えたのよね。だってさ、ある日突然意味もなく服を作る訳じゃないもんね、何か意味があって、表現したいものがあって、時間をかけて、一つ一つデザイン考えて、生地を考えて、それで創ってるのだものね。・・・と面白ろかった事は尽きないのだけれど、ここで私が得た一番大きな収穫はですね、ファッションショーって「目立つ」ためにやってるんだということですね。昔から12チャンネルでやってたファッションショーの番組(ファッション通信だっけ?)でパリコレとか見てて、やっぱり腑に落ちない事ってたくさんあったのよね。なんでこんな気持ち悪いメイクをするんだ?とか、なんでわざわざ野外に変な仕掛け作ってそこでショーをするんだ?とか、理解不能な演出がいっぱいありすぎて、これが理解できない私はやっぱりファッションとかアートには無縁なんだわ、と何気に結構落ち込んでいたこともありました。でも今回の展示会でこの「アントワープの6人」と言われている人達のコメントでね、「ファッションの世界で、本当にいい服を作るために注ぐ力は50%、残りの50%はいかに目立つかってことにかかってるんだ」というのがあったのよ。いい服を作るだけじゃなくて、プラスいかに目立つかでメディアの視線を引くような演出もファッションの世界で成功するための大切な手段なんだ、とね。ナルホドー、だからあんなインビテーションカードの一つ一つにもこだわるし、ショーの演出も目立つために工夫した演出が必要なのか!!こんな単純なことだったのか!「目立つ」事のために、演出があったのか!よく考えてみれば、なんとも単純で簡単なカラクリではないですかー?たったこれだけの事なのですが、私の中でもヒジョーに大きなナゾが解けた気がしてとても気分がいいです。でもそんなデザイナーさん達の「演出」ならやっぱり楽しみだよね、気になるし。どんどん目立っちゃってください。
展示の一つとしてショーの映像が見れるコーナーがあったのだけど、そこで気になった人たちだけリストにしておこう。


ラフシモンズ
RAF SIMONS
こりゃ、かっこいいわ、ね。伊勢丹メンズ系っていうのかしら、ね。

マルタン・マルジェラ
(パリの貧困層の区域にあるガレージでショーを開催。会場には近所の貧しい子供達を招待して、子供達はランウェイの中を自由に行き来できるので、モデルさんの周りで無邪気な子供がはしゃいでいるのがものすごく印象的)
アクセサリーかわいいー。
http://www.martinmargiela.co.jp/jp/collections/PE2009/collection-14.html


・ディルク・ビッケンベルヒス(ベルリンのデパートの中をサッカー選手のモデルさん達がパンツ一丁で歩き回るというショー)
Dirk Bikkembergs オンラインショップ|ホームページ


・アン・ドゥームメースター(映像じゃなくて、展示してある服がカッコよかった)この人好き。
Official Online Store | Ann Demeulemeester



誰のショーだったか忘れてしまったのだけど・・・
(病室に見立てた会場にはベッドが両脇に並べられていて、ショーの一部ではモデル達がベッドの上で寝ている。服を着てベッドに横になっている感じがなんとも不思議な感じ。エロティシズムな感じ。2部では、そのモデル達がベッドから起き上がって、真ん中の通路をランウェイとして歩く。これはおもしろかった。非常にお気に入り。)
・・・というのがあった。誰だろう?