日本を創った12人〈前編〉 (1996)
堺屋 太一 (著)

日本の歴史は全くダメの私です。少しでも、有名な歴史人だけでも、少しはわかるようになりたいと思って図書館で借りてみました。本書は日本独自のスタイル、感性、視点など、要するに「今の日本人ならではの特質のルーツはこの歴史人にあり」といった見方で歴史上の人物を解説してくれます。単純に歴史を追うだけでなく、「ははー、なるほど、確かに」とうなずける部分がたくさんあったので私にとってはとっても読みやすかったです。前編となる本書ではまず6人を取り上げています。私の復習も兼ねて、この本で「なるほどー」とわかったポイントを書いておこう。


1)聖徳太子
太子さんの偉業は「神道・仏教・儒教」これらの宗教をすべて"あり"にしちゃったことです。確かに他の国の歴史を見ていると宗教戦争なるものがメイン。例えばキリスト教を広めるために他の国に進出しちゃったりとか、1つの国=1つの宗教でなければいけないという概念がある!でも日本にはない。(・・・と思う。)故に、今の私にはやはり中東で起きている戦争やテロなどは理解しにくい。んー、確かにその通りかも。この宗教にたいする曖昧な思想は、聖徳太子さんに起源するものだったのね。なるほどです。この本で1番始めの登場人物だったけど、この部分が本書の中で一番私にとって記憶に残ったかな。
2)光源氏
「上品」概念のの創立者。実在した人物ではないのに、多くの人から語り継がれている光源氏とは、「文化や芸術、娯楽ばかりを追求していたにも関わらず、国民からの支持を得た人」らしい。上に立つものは行動力あるやり手ではなく、常に「上品」に上から下を見ている事が理想だという事を定着させた。コレも確かに、日本人にはそんな気質がある気がする。と、言うかそういわれてみればそんな感じが分からなくもないもんね。
3)源頼朝
前述の光源氏のような権力者もいれば、形だけの権力であればそんなものは必要ない!という事で、公的権力と実質的な権力を分離させたのがこの方!皇族中心となる政治権力は京都に、戦力をつけて実質的に国を支配するのは鎌倉幕府に、と権力の拠点を分けちゃった訳だ。これはこれは確かに画期的だねー。京都に皇族がいても鎌倉で別の自治を行っちゃってるんだもんねー。これがきっかけで今の皇族も「シンボル」になっちゃったのだね。なるほどです。
4)織田信長
このあたりの歴史は私は非常に弱い。名前だけ妙に知っている分、誰がどの時代で何をした人なのかものすごーくこんがらがっています。(これを読んだ今でもまだ絡まっている。)けれど、それぞれの人物の特徴くらいは頭に残ったのでよしとしよう。織田信長は現代風に言うと、掟破りの斬新者、金持ち社長の金髪ムスコみたいなイメージ!?・・・であってるでしょうか?とにかく新しいことが好き、人のいう事は嫌い、俺のやり方は俺が決める!って人だよね。私から見ると男性としてはとても魅力的なタイプだと思うのですが・・・(笑)織田信長の偉業はですね、「兵士」という職業をつくった事。それまでは自分の属する大名のために農民が兵士として戦いに挑んでいたらしいけれど、そんなんじゃ、まともな戦力にならんし、あてにならん!と、信頼できる、且つ戦うことに訓練された兵士に給料を与え、そんな雇われ兵士の地位を確立させちゃったと。これによってそれまでは、職業もなにもなかったような無名の低所得者達が力を持つことが可能になったんだね。ハハー、なるほど。これで下克上とか起きちゃうってことか。
5)石田光成
著者である堺屋さんはこの石田光成に最も思い入れがあるらしい。なぜならば、この石田光成は今の日本でいう「縁の下の力持ち」(正確な例えはないかもしれないけれど、私にはこれで通じる)、もしくは舞台の黒子みたいな存在で、要するに舞台の表には姿を見せないのだけど、裏で実権を握り、ひそひそと全体をコントロールしている黒幕として活躍した人だからです。これじゃ聞こえが悪いかもしれないけれど、財力も権力も十分ではないが、でも何か成し遂げたい事があるときに、「じゃあ、財力も権力もある人をうまく使って操作しちゃえ」と、そんな事をやった人。日本の会社ってそうかもだよね。今となってはさすがに少し変わったかもしれないけれど、バブル時代の会社の社長さんとか部長さんとか、上の位の人って決定権はあるけれど、結局自分では何もできてないもんね。日本の政治も然り。総理大臣さんたちもそんな人達ばかりな気がするざます。と、いいとも悪いともとれる特性ではあるけれど、この裏でコントロール主義は石田光成さんにルーツあり・・・と。
写真は「信長の野望」より。
6)徳川家康
真面目一本のちょっと恐い性格の人のように思えます。織田信長に忠誠を捧げていた故、自分の息子と妻を殺してしまうとは・・・。ひょえー、恐いよ。私の印象としては面白みのない堅い仕事一本のお父さんというイメージです。仕事といっても徳川家康は幕府のトップですから、虫のように働くのではなく「お上意識」を持って国を統治したのだねー。この「お上意識」というのは、人をきっちりとした階級制度に分けること。参勤交代とかもこの時代。きっちり性格の故にすべてを自分の手の届くところにおいて置きたいという意識もあったのか、それまでは京都にあった政治権も江戸に持ってきちゃうのです。ここで今の東京の下地、江戸が栄えたと。ハハー、なるほどです。そして「もっと栄えよ」よりはより「安定」した思考で政治を行ったらしい。ここが起源かどうかは私にはちょと言い切れないけれど、日本人の安定志向の根源はここにあるのでは?というのが本書が教えてくれたことでした。

あー、学校の授業でノートをまとめている感覚だ。でもこんな感覚久しぶりだなー。結構、ノートを取るのって楽しかったし好きだったんだよね。でも学校の授業って、ノートを取るのに集中しすぎちゃって、実はその中身は全然頭に入ってなかったりするんだよね。でも、こうやって教科書にあたるべく本を一冊すべて読み終わってから振り返ってノートをまとめてみると、これは意外ととても記憶に残るものになるね。よほど興味のある本とかでないとできないけれど。でもちょっとシーズン的に新学期らしくていいわ。勝手に学生気分味わっちゃおう。