2 Days in Paris (2007)
パリ、恋人たちの2日間

3.9点 
製作国: フランス/ドイツ
監督、脚本、音楽:
ジュリー・デルピー
出演:
ジュリー・デルピー as マリオン
アダム・ゴールドバーグ as ジャック


点数つけるのが非常に難しい……。好きな要素もいっぱいあって、面白いんだけど、でもその反面'シコリ'が残るというか、共感できないところも多いというか、かといって共感できないから点数はあげないっていうのも違う気がするし……悩ましい。共感できない、納得できないと思うこの'シコリ'は私が「そう思わない」からじゃなくて、単純に「知らない」からそうなっているだけなんだよね。だからある意味、今までとは違ったモノの見方を味わえた、という点では非常によかった。面白かった。それはどんな部分かというとね、まずね、マリオン(女)とジャック(男)の性格的な要素が今までの私の価値感と逆なんだよね。マリオンは喧嘩っ早くて、性にオープンで、相手に対しての気遣いの仕方とか気分の上がり下がりの激しさとか、すぐに社会的・理性的な一面で話を逸らそうとする感じ、一方ジャックは神経質で、嫉妬深くて、相手の細かい行動が気になって仕方がなくて、みたいな…そんないくつかの男女についての(私の中にあった)固定概念がいろいろとミックスされてるんだよ。ここから思ったことは、ジュリーデルピーのコメント:「もうね、男らしさとか女らしさとか、そんなことを言っている時代じゃないのよ、個人で行かなきゃ」のように、男の人・女の人の決まりがないんだよね。それはとても面白いし、新しいし(実際の社会ではもう新しくもなくて、それなりに受け入れられている概念だと思うけど、映画の中での表現としてはNEW!for me.)、不思議にも思えたけれど、でも最後にはとても納得してしまった。ある意味、共感したってことね。
また、男女関係の壁をとっぱらったと同時に、異文化(アメリカ人とフランス人)の価値感が手に取るように見えたのは面白いねー。なんとなくだけど、日本人がアメリカ人を「アメリカ人って自由でなんでもありって感じよねー、ワーオ、アメリカン!」と思っているようなノリで、アメリカ人からみたパリジャンって「これがパリ流」みたいな、フランス人は(パリは)ちょっと変わっている、アメリカでは非常識なこともアリになっちゃうんだぜ、っていう見え方があるんだね、きっと。だからこそアメリカ人もフランスに憧れがあるし、一歩ひいて見ている感じはするよね。面白いのが、監督ジュリーはフランス人。でも彼女は大学からNYに来て、今ではLAに住んでいる。心の中は「パリ流」が生きているだろうけど、アメリカに長くいると、自国フランスのことがよく見えるんだろうね。よくっていうのは、プラスにっていう意味じゃなくて、輪の外にでて初めて気が付くその内側ってことね。外から見るフランス人って、下品で、性や愛に対してノリが軽くて、元カレ・元カノ(X)は別れても友達として好きなら付き合いがあるのは当たり前で、家族や友達に対して見栄がないのね。見栄なんかはったってムダでしょ、オープンが一番でしょ、っていう、いい意味でも悪い実でも「隠さず」突き進む感がすさまじいのね。食文化に対しても、衛生面に関しても同様。これはまぁ、人というよりは文化の違いなんだろうけど。家族・友達、彼氏彼女、それにタクシーの運転手とまで、とにかく言い争いが多いのね。普通の会話でもすぐに言い争いになる、といいうのが印象的でした。ジュリーはすぐに言い争いを始める、面倒な女性をよく演じたよね。そんな性格が曲げられないマリオンは私から見るととてもマイナスイメージなんだけど(だって、すぐケンカするんだもん。もうちょっと大人になってよ、って思っちゃう)、ばっちりハマリ役だったと思う。

それからコレ。DVDに収録されていたインタビューの様子なんだけど肩見えすぎじゃない?インタビューに応えている間に、どんどん洋服がズレてここまできちゃったんだけど、全然直そうとしない。むしろ心地よさそうにすら見える。豪快だー。コレがフランス流なのだろうか。この自然にセクシーな感じが…。きっとそうなんでしょう。そうしておこう。

2 Days in Paris (2007) - IMDb
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