天国はまだ遠く 瀬尾まいこ著(2004)
死にたいほど苦しくなる前に、都会の人はみんなこうやって一度は田舎で生活してみる法律があってもいいんじゃないかと思う。法律っていうと変かもしれないけど、そういう仕組みがあったらいいよね。会社に勤めている人もさ、一度くらいは強制的に田舎での生活(会社に行かなくても生活を成り立たせる能力)を味わうチャンスがあってもいいでしょ。そしたらさ、過疎化とか田舎のお嫁さん不足とかも少しは解消されるし、会社のプレッシャーに苦しめられている人は別の道が見えたりして、なんかいろいろもっとうまく行くんじゃないかね。超、超、楽観的な考えだけど(笑)。私は自分でもわかるくらいノーテンキな性格だけど、それでも会社とか人間関係とか面倒になるし、もっといろんなことから解放されてみたいわー、なんて思うもんね。それで別の生活を経験してみて、この主人公の千鶴みたいに今まで見えてなかったものが見えるかもしれないしね。そういう可能性やオプションってもっとあっていいよー。
あとがきにあったけど、このストーリーの中の出来事は実際に作者が体験した出来事なんだね。こうやって自分の経験を作品の中に練りこんで、かたちに残しておけるっていいなと思いました。それから、私は多分、千鶴が自分の友達だったらかなり面倒な奴だと思うと思う。いじいじしてるし、1人じゃなんにもうまく出来ないし、上手く出来ないことをまたいちいちいじけるし、すぐ泣くし……その割には言いたいこと言うし…。「この子、苦手」というのが第一印象。でも最後まで読んでみると、そんな風に思っていたのに、私だっていくらでもこんな事してるのかもと思えてしまいました。んー、あまりそういう風にはしていないけど、私だってこの子みたいになる事あるかもしれないっていう可能性を否定できなくなっちゃったんだよね。物語後半では、そんな風な視点に変わっていたということは、それだけ心がほぐされたってことなのかね。
映画版もあるんだ。加藤ローサチュートリアル徳井さんだって。へぇ。