Le mari de la coiffeuse (1990)
髪結いの亭主

4.5点
国:フランス
監督/脚本: パトリス・ルコント
ジャン・ロシュフォール as アントワーヌ
アンナ・ガリエナ as マチルド






ルコント監督の作品を初めて見ました。これまた、名前だけは知っていたけれど作品はノータッチだった監督です。基本的にヨーロッパ映画の監督はまだまだノータッチな畑がいっぱいあるので、どんどん開拓していかないとね。
感想。とてもよかった。一言でいうとこれも「ダメ男の一途な恋愛映画」なんだけど、これだけと男性の正直な部分をストレートに素直に表現されてしまうと、その「究極感」にやられてしまうというか、私も飲み込まれてしまいました。基本的に会話は少ないし、ストーリーは主人公アントワーヌの幼少時代の記憶と現在の結婚生活を往復しながら進むので、質素なつくりなんだけど、その分ちゃんと伝えたいことが詰まっている感じがしてとてもイイ! 
子どもの頃、女性の理髪師に抱え込まれるようにシャンプーをしてもらうことが大好きだったアントワーヌの夢は『髪結いの亭主』。女性を近くに感じられるその体験から、女性への意識がふくらみそのまま大人になってしまった彼。ある日、訪れた散髪屋で働いている孤独な香りのする、でも天使のように微笑むマチルドに一目ぼれをし、その日ポロっとプロポーズしちゃうんだよね。無意識のうちに言葉が出ちゃったって感じで。数日後、マチルドから「あなたの告白に心を動かされました。結婚します。」と返事をもらう。二人はマチルドの理髪店の二階に住み、お互いがいれば友達も要らない、と二人だけの強い絆で生活を送ります。この関係がね、ステキ。そしてストーリーだけでなく映像や音楽の効果もあるのだろうけど「優しい」雰囲気が終始漂っているんだよね。官能的な行動もすごくストレートで、そりゃドキドキするんだけど、でもポーっと受け入れられちゃう(笑)。アントワーヌの名言「おまえがもっとやせたらおれは自殺する」だね。マチルドの体の線とかそんなに強調されてる訳じゃないんだけど、男性の視点で世界を見ていると思うと、こうやって見えるのね(もちろん男性みんなじゃないし、いつでもじゃないと思うけど)って感じがして面白かったな。
ルコントさん、かなり興味出てきたよ。また別の作品もぜひ見よう。そして私がキョーレツに思ったのは、もし自分がこの映画を二本立てで上映するなら、この後の作品はタランティーノの『トゥルー・ロマンス』だわね。

映画 髪結いの亭主 - allcinema
Le mari de la coiffeuse (1990) - IMDb