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日本人へ 国家と歴史編 塩野七生著
かっこいいなぁ。塩野さんのように自分の意見をしっかりと口から発言できて、そしてちゃんと文章にも書けるようになりたい、と読後に強く思った。「書く」までできたらすごくいいけど、まずその前に「意見を持つ」ことがしっかりしないとダメなんだよね。
この本は塩野さんの意見の塊で、その中には同意できるものもあればそうでないものもあったけれど、でもどれも説得させられる説明がちゃんと備わっていて、とても素敵でした。私の「憧れの人」になりました。意見の中身ももちろんだけど、それを伝えようとするその姿勢が本当にかっこいい。そしてものごとを見るにはやっぱり批判的な視点が大切だよね。
とくに、「滞日三題噺」と題された文章の中にあったこれ。
書名『求めない』加島祥造著
新聞の広告にこのように書いてあったそうだ。
求めないーすると心がひろくなる
求めないーすると恐怖感が消えてゆく
求めないーすると人との調和が起こる
求めないーすると待つことを知るようになる
ところが塩野さんはこれをこのように書き換えてみたらしい。
求めるーすると心がひろくなる
求めるーすると恐怖感が消えてゆく
求めるーすると人との調和が起こる
求めるーすると待つことを知るようになる
「求めない」というのは3分でできるかもしれないが、
「求める」というのは欲望であるから、それゆえにその先に向上心や創造力が生まれ、結果的に生きているということにつながるのではないか、ということだ。
なるほど、なるほど。私もそのとおりだと思った。塩野さんはこの本を結局読んでいないので、中身については言及していなかったけれど、単なる書籍の告知文句だけでもこんなに遊べるのか(私にとっての「求める」的アプローチで言いかえると、批判的な視点が養えるのか)ということがとても面白かった。
ローマの歴史になぞらえながら、日本の政治や世界の問題について語ってくださるところは本当に勉強になるし、ワインや日本の漢字の魅力についてなどのちょっとしたおしゃべりコラムもとても楽しく読めた。この本に出会えてよかったな。今はこの前に刊行された「リーダー編」を読んでいます。また読み終わったら、ここに書きます。