悪夢のような3ヶ月間がやっと終わりました。今日やっと担当していた書籍が校了になりました。休みもなく、寝る時間もなく、徹夜が当たり前で、「私は何のために生きてるんだろう?」なんて、何度も自分に問いかける日々でした。それでもとにかく早くこの悪夢を終えたくて、ひたすらやり遂げたという感じです。私の仕事は編集者ですが、この猛烈に忙しく、尋常ではない働きかた通して、時間がないなりに考えたことをメモしておこうと思います。
きっと忙しい日々が終わって落ち着いたら忘れてしまうだろうから。でもこのどこにぶつけたらよいかわからないモヤモヤは消したくないし、なかったことにしたくありません。


1)まず、編集者とはこんなにも著者に振り回されるものなの?
→平日の呼び出しなんてざらで、土日しか打ち合わせができないというので金曜日終電まで働いて、土曜日の朝8時にご指定の打ち合わせ場所までいったら11時まで待たされるとか、夜中に原稿を届けさせられるとか、ひどいもんです。


2)編集者は著者とだけ仕事をしているのはない!
→編集者は著者だけではなく、デザイナー、イラストレーター、中面のイラストとは別に表紙をお願いするイラストレーター、音声の編集者(私の担当している本はCD付き)、CDのための収録スタジオ、そして収録に参加してもらうためのナレーターさん、などなどたくさんの人を巻き込んで仕事をしているのです。1冊の本を作るためにどれだけたくさんのことを手配して、どれだけの依頼指示をしなければいけないか、著者はわかっているのでしょうか?
そして本の制作に直接はかかわっていなくても、制作費とスケジュールにだけシビアな編集長という存在がいて、常に見張られているという非常に息苦しい空間で仕事をしなくてはならないのです。


3)編集部というひとつのチームなんだからもっと協力すべき!
私のいる編集部では、編集者は基本的に自分の担当している単行本や企画しかやりません。誰かが火を噴いていても、基本的にノータッチです。「大変そうだね」のひとことだけで、手を貸してくれる人なんていません。やさしい言葉すらかけてくれません。それでいて、編集者という肩書きとは別にWEB担当である私は、会社のWEBのメンテまでやらなくてはなりません。WEBなんて簡単なのに、誰も覚えようともしないし、人に仕事を押し付けるだけというひどいチームです。今回担当した書籍も、ほぼ誰も助けてくれませんでした。


4)どれだけ働いて、いい本がでたとしても編集者にはなんの利益もない!
著者先生は印税がもらえます。会社には売り上げが入ります。でも残業代も出ない編集者には、一向にあがらない一定の悲しいお給料だけでなんの報酬もありません。ボーナスもほぼありません。やっぱり何かしらの報酬はほしいです。じゃないとモチベーションあがりません。


5)誰も協力してくれないなら会社(チーム)でやる必要はない!
3に書いたとおり、結局誰も何も助けてくれないのです。今回1冊の本を作るのに知恵と時間を割いたのは、私と著者と出版社以外のクルー(デザイナーさんやイラストレーターさんなど)だけで、出版社からは制作費以外のものは出ていません。だったらですよ、誰も何も助けてくれないならチームでやる意味なくないですか?出版社を通さなくても、このメンバーがいればできることなんじゃないか、と非常に強く思いました。


6)結局は中身を作れることが大事!
というのは、結局は編集者は1冊の本をつくるためのコーディネーター&著者の相談役&ときにはゴーストライターであって、中身のアイデアやコンテンツを正直著者よりもたくさん作っているけれど、私の名前は奥付にすら載らないという都合のいい係なんですよね。でも、編集者の仕事がひととおりできるようになったということは、自分で中身を作れる力があれば、あとは一人でできるという強みでもあるわけです。だから、私は何か中身をクリエイトできるようになりたいと思います。えらい先生になりたいとか、有名な著者になりたいとかそいういうのではなく、自分の表現の場として何か中身になるものを残せるようになりたいと思います。


7)自分の時間を大切に!
要するに、今の会社が気に入らないならやめればいいわけです。それはよくわかっています。会社と私を結ぶものは「お金」です。義理でも人情でもありません。私はボランティアではないので、納得のいくお金がもらえない、社員としても大切にしてもらえないような会社にいる必要はないわけです。今、会社を辞めてこの大不況の中に飛び込んでいくのは勇気がいるかもしれないけれど、でも今のままではいけないと強く思うのです。だからアクションしなくちゃね。


8)自分に大切なものの優先順位は明確。
私は会社のために生きているのではありません。一番大切なのは家族です。7月に父親が倒れて、今でも入院しています。毎週お見舞いに行きたかったけれど、仕事がのしかかってきて、それどころではありませんでした。もう一ヶ月父親に会っていません。父は、家族が面会に来てくれることだけを楽しみにしているのに。編集長には事情も状況もちゃんと説明したはずなのに、彼女の頭には締め切りのことしかないようで、たまたま会社を出るのが一緒になったときに「お父さんの具合はどう?」なんて、社交辞令で聞いてきたものの「正直、忙しくてぜんぜん会いにいけてないんですけど!」と言ったら、気まずそうに「そう・・・」と言いながら、その先は何も言いませんでした。その瞬間「あ、この人は結局私のことなんて何も考えてないんだな」とすぐにわかりました。


9)結局グチでしなかない。
ここにいろいろと溜め込んでいたことを吐き出しましたが、結局は自分が「いやならいや」「おかしいならおかしい」と言えるチカラがなかったことが悔しいのです。そう、この状況をアリにしてしまったのは自分の責任でもあるとわかっているのです。だから悔しい部分もあります。でもこの気持ちを二度と味わわないためにも、この先の身の振り方を考えようと思います。そのためにここに今の気持ちをメモしました。

よし、これだけ書けば、いつか読み返したときに今の気持ちをよみがえさせる何かになるでしょう。
はー、すっきりした!