幸福な食卓 (2004)
原作:瀬尾まいこ

4.3点
主演:主演:中原佐和子 - 北乃きい、大浦勉学 - 勝地涼


映画より先に小説を読んでいた。小説を読んだのは2〜3年前かな。iPodでラジオドラマ(NHKのラジオシアター)を聞くのにはまっていたころ、『卵の緒』という作品があって、それがとてもよかったのよ。その頃、私はSEをやってて、毎日とても忙しいのだけれどなんか平凡で退屈ばかりしていて、通勤中のラジオだけはすごく楽しみにしていた。いろんな作品があったけれど、『卵の緒』の心があたたかくなってぽかぽかしてくる世界観は特別だった。そもそも、ラジオシアターも彼氏に教えてもらったんだけど、それから気に入っちゃって、瀬尾まいこさんにはまってしまったんだな。

で、この映画もいいよ、なんて言われてたんだけど、なかなか見るきっかけがなくて、この間テレビで放送されていたのを録画してやっとのことで見られたのです。ひとりで部屋で見てて、「大浦君がぁぁぁぁ」という非常にキーポイントのシーンで、彼氏が帰宅してしまうという一瞬感動の起伏がきれたところはあったけれど、じわじわとぞくぞくと心に響く物語でした。

『バンデイジ』のときは、北野きいちゃんて普通の子だな、なんて思ってたけれど、この作品では格別に、きいちゃんにしかできない役を演じきってるね。とても彼女の透明感のある少女性が映画にマッチしていた。現実的な目でみちゃうと、「こんないい子そうそういないよ」っていうくらいレベルの高いいい子なんだけれど、その教科書的な善良な「良さ、ストーリーの描きかた」が、この作品のいいところだし、瀬尾さんの持ち味なんだよね。

なんだかんだ言って日本の教科書ってサイズも中身もよくできてるし、ひとことで「優れモノ」というのは難しいけれど、本当によくできてるんだよ。そんな独特の「よさ」がたくさんあって、心にやさしいしんみりストーリーです。

瀬尾さんの本、もっと読みたいな。今のところ出ている本はこれか。全部読みたいな。