The Odessa File (1974)
4.3点
監督: ロナルド・ニーム
原作: フレデリック・フォーサイス
出演: ジョン・ヴォイト、マクシミリアン・シェル、マリア・シェル

Underestimated masterpiece!
「スパイもの」つながりでこの映画を見ることになった。私は勝手に「スパイ映画=おちゃらけでちょっとお色気あってコメディなノリ」というレッテルを持っていたので、そういう意味ではこの映画は期待ハズレ。しかし私の期待を裏切って、見事に最後まで映画に引き込ませるパワーはすごい。途中から(プレイボーイな)スパイとかどうでもよくなっちゃったもん(笑)。
歴史に弱い私でも物語の背景はちゃんとわかるし、見終わった後にさらに歴史を知ったという学習感も残る。んー、マッタ! 学習っていう言い方はよくないかな。ナチスによるユダヤ人殺害の事実、その時の軍事エリートたちの残虐な態度・行為、戦争が終わってもまだ根強く残っている独裁質とか、普段日本で生活していて滅多にあたまによぎらないことだけれど、でも映画とかテレビのドキュメンタリーとか、ポツン・ポツンというタイミングでもいいので、自分の中で共有できることは大切だと思う。ちょっと前まではね、貧困とか、虐待とか、こういう戦争とかで国民ひとり、ふたりではどうにもならないような状況を強いられるとかを見ると「ああ、今すぐに何かできることはないか!」ともがいたりしてたんだけど(女性によくあるタイプでして……)、今までの結果からして何にも形にのこるようなHelp・Volunteerはできていないのですよ。だから、そこに瞬間的に気持ちをぶつけるのはやめた。だからって何にもしなくてイイってわけじゃないよ。具体的にダイレクトに何かするでなくても、何かできること(していること)はあるかもしれないよね。
っととと、映画からズレズレの話でした。フリー記者の主人公はある日たまたま手にした1冊のファイルに書いてあったユダヤ人の日記を読み、過去のナチスによる収容所の実態を知る。日記の最後には、収容所所長であった軍事官の名前とそこで亡くなった人々のために祈りをささげてほしいという、その現場にたユダヤ人のことばが残されていた。それを見た主人公は心を動かされ、まさに「俺がなんとかしなくては!」というつっぱしり気味な様子で当時の所長を探すべく調査を開始するのです。ここまでは、先に書いた私の初期衝動みたいなところにちょっとつながるかなーとも思うんだけど、さすが映画!、ちゃんと最後には「お!」と思わされる個所がありました。正直、ちょっとしたドンデン返しみたいな感じでびっくりしたよ。
1974年の映画だから、もう結構前の映画かな。それにしても、映像の構成とかつくりもシンプルで、やたらと爆発シーンやスピード意識のシーンがある最近の映画よりも全然立派に見えたよ。後半に偽造パスポートを作ってもらう家に侵入するシーンとか、音は全然ないのに敵がいる部屋にヒーッソリとジリジリと接近していくところね、すごくハラハラしたよー。ドッキドキ。
それからもうひとつ、彼女をちゃんと大切にしているところが、映画の中のちょっとしたブレイクになっててよかったな。

そ・し・て、、、映画を見た後にいろいろ調べてみていちばんビックリしたのが、なんとこのスパイ主人公ジョン・ヴォイトさんはアンジェリーナ・ジョリー嬢のお父様だったということ。これはおったまげた(笑)。