SLUMDOG MILLIONAIRE(2008)
4.0点
監督: ダニー・ボイル
製作総指揮: ポール・スミス

出演: デヴ・パテル as ジャマール・マリク
    マドゥル・ミッタル as サリーム・マリク
    フリーダ・ピント as ラティカ

ひゃー、本当は4日前にこの感想を書くはずだったのに、仕事でてんやわんやしてしまい書けずにいました。(それにしても今までにない恐ろしい校了作業だった……)。

それでも、ブログに貼るための画像をサーチしていたら映画のことも少しづつまた蘇ってきたよ。日にちが経つと色あせてしまうというのは本当に恐いことだけれど、完全に忘れる前にこうやってもう一度触れる機会があるというのは、実はすごく印象を深めることにつながると思う。なんでだろうね。忘れそうだったのに、ここでこのワンクッションがあることで、感想が強まるというのは不思議な現象だ。なんでも「ひとてま」が大切だと言うけど、この印象アップ術もそういうことなんだろうね。

この映画を鑑賞したのは、『Clue』の直後。前の映画に満足してしまった父は映画のさわりだけ見て、「インドには行きたくないなー、やだなー」とつぶやきながら、すぐにグースーピーと寝てしまっていた(笑)。なんともお気楽な人。
母親はとても険しい顔をして見ていた。
(スラム街の様子を見て)「うわぁ、ひどい」、
(トイレの穴に飛び込むシーンを見て)「えええー、やだー」、
(子どもがものもらいとして育てられている施設を見て)「ほんとうにこんなことあるんだね、ひどいね」

私だってびっくりしたよ。だって最近聞くインドの話は「IT技術者のメッカ」「インド人はあたまがいい、数学は天才的」というような、急成長国家のことばかりでその裏に潜んでいるスラム街の実態なんてほとんど聞いたことがないもん。でも昔はたしかに貧しい国のイメージはあった。学校の教科書でカースト制度の話を聞いたりして、今の自分の環境(日本)では考えられないなーとか思ってた。それが、最近の目立つインドのニュースばかりを見たり聞いたりして、勝手にスラム街のことが消えてしまっていたんだよね。でもこの映画を見て、ちゃんと焼きついた。日本からはやっぱり目の届かないところはたくさんあるって、そしてこのスラム街ストーリーは、世界の多くの国では珍しいことでもないから騒ぎ立てることもあまりしない。ただもう当たり前のこととしてずっとそうなっているんだよね。そういう当たり前になりすぎて影すらもなかなか私には届かないストーリーをこの映画は見せてくれました。
結構前に町山さんの映画評論で聞いたことがあったからなんとなくストーリーは覚えていたけれど、でもこんなにスタイリッシュに構成されているとは知らずにびっくり。たんたんと時系列に進んでいくのかと思ったら、映像の見せ方も、音楽との絡みも、時系列の組み立てかたもいろいろと斬新でかっこよかった。これは監督の仕事だよね。ダニー・ボイル? ン? 聞いたことありそうだけど、知っている作品がひとつも出てこない……で、調べてみたらやっぱりいろいろあった。
ザ・ビーチ」「トレインスポッティング」「普通じゃない」など。このラインナップを見て、なんかいろいろ合致した。イギリス人の監督ネって。

映画の内容はとても考えさせられるところがある。映画のいい悪いって個人の好み以外にどういう基準で判断していいのかよくわからないけれど、でも一般的に「何かを考えさせるきっかけ」を与える映画がいい映画だとするなら、これはとてもいい映画。貧しいスラム街の男の子が、自分の生きてきた経験を振り返りながら、クイズに正解していき、ミリオネアになる。簡単に言ってしまえばそれが軸なんだけど、兄弟関係、初恋の女の子、孤児院を脱出して子どもだけで生活していくさま、悪い世界におぼれていく回りの人々、……などいろいろと考えてしまうよ、こりゃ。

そして何としてもひとこと言っておきたいのはヒロインのラティカちゃん。なんて美しさを放つのだろうとビックリしてしまうくらいに、インパクトのあるキレイな人だった。最近ではウディ・アレンの作品(You will meet a tall dark stranger:邦題未定・日本未公開? )にも出演していたみたい。それにプライベートでも主人公のデーブ・パール君と交際していたみたい。


そう、それからびっくりしたのがデーブ・パール君!彼はなんと、聞くところによるとGossip Girlよりも内容の激しいイギリスの人気ドラマ『Skins』から登場したらしい。ヒョエー!かなり前から気になっている番組なんだけど、まだ手がつけられてないのよね。へぇー、でもこれはなかなかキャッチーな情報だわ。ぜひこれを機会にSkinsも見てみよう。(どうやって入手するかは考えないと……)

それから最近の作品ではナイト・シャラマン監督の『エアベンダー』に出演したみたいよ。うぁお、スターまっしぐらだね。それにしてもこの役はまたすごそうだ。
最後にものすごーく気になることがひとつ。製作総指揮のポール・スミスってあのポール・スミスなのかな?

あ、もうひとつ。アメリカ版のパッケージのほうがかっこよくない?