すべては「裸になる」から始まって 森下くるみ著 (2008)

TBSラジオ「キラキラ」で、ウタマルさんが紹介していたのを聞いて読んでみた。著者の森下くるみさんは10年間AV女優さんをやっていていた人。私もAV世界にもっと縁があればゼッタイに知っている人だと思うんだけど、残念ながらレンタルビデオショップのアダルトコーナーに出入りする機会も滅多にないので(←女の人でも入れるんだろうけど、勇気がナイ……)、ウタマルさんの紹介を聞くまで知りませんでした。でも、ちょっと聞いてみたら、男子は(やっぱり)知っていた! 「普通にテレビとか出てるよ、すごくかわいいよ」と。さすが、男子☆ 自分の今まで触れていない世界があるのかと思うとますます興味が湧いてくる。知りたくなってくる。

この森下さんの本は、文体もとても読みやすくて、夢中で読んだから、一日10時間以上働かされている私でも2日分のお昼休みと通勤時間で読めたよ。読み始めて1日目、森下さんがAVの世界に入る前、つまり子どもの頃から学生時代の話のところを読んで思ったのは、「自伝っていいな」ということ。自分が子どものころどう思っていたか、どんなふうに過ごしていたか、それはもう過去のことだから、その時の気持ちを100%正確に表現することはできないかもしれないけれど、少なくともそれを振り返ってひとつの記録にするということがすごく魅力的に思えた。これはきっと、森下さんの文章が上手だったから、私もちょっと憧れちゃったのよね。今思えば、私の子どものころもなんかいろいろあったよなーと、この本を読んでいて思い出してしまいました。

簡単に要約してしまうと……秋田県から上京して、男の人に声をかけられて、はじめはよくわからないまま始めてみたけれど、いつの間にか「仕事」としてのプライドや誇りを持って向き合うようになっていた、と。このおおまかな内容はウタマルさんの紹介の中にもあったからわかっていたんだけど、でも実際にちゃんと読んでみてさらにAV世界のこと、女優さんのことに触れられてよかったよ。勉強になったよー。森下さんの子どものころの話、デビューした当時の苦労話や、作品の中で体験したあんなことやこんなことや(ファンサービスイベントの内容がびっくりした!!)、プライベートのことなど。うわ、こんなことまで赤裸々に!というのが強みにもできるんだろうけど、森下さん本人もおそらくとてもさっぱりとしている人で、それが赤裸々であるようにも書いてないし、自分にとって自然なこと、当たり前のことという姿勢を強く持ってこの本を書いたというのがわかりました。そこがとても素敵だなと思った。

もう一冊新しい本『らふ』を最近発売したんだよね。そうだった、ウタマルさんはこっちの新しいほうを紹介していたんだった(笑)。またこちらも読んでみよっと。作品も見てみたいわ。