おと・な・り(2009)


4.7点

これはヒジョーーーーーーによかったです。邦画の魅力というか、「こういうのが観たかった」という私のど真ん中につきささった感じで、鑑賞中に、ばあちゃんのリハビリの先生がやってくるわ、お母さんがカレーを食べなさいと騒ぐわ、妹が乱入してくるわ、でなぜだか人が集まってきてしまう時間だったにも関わらず、ものすごく集中して観ることができた。この世界によほど入り込みたかったんだろうな、私は。まわりの雑音とか、些細な変化にまどわされることなく没頭したよ。

岡田君が主演しているということ以外、なにも知らないで観たんだけど、それがまたよかった。最後の「え、そうなの?なんて嬉しいシチュエーションなの!」という、胸の高まりがハンパない。

岡田君がカメラマン、麻生久美子さんがお花屋さん、お隣同士に住んでいるのに顔も合わせたことがないふたり。それでも壁のうすいとなりの部屋からはいつも、隣人の生活の音が聞こえてくる。麻生さん演じる、七緒がフランス語をリピートしているところ、キーソングともなっている「風をあつめて」をうたうところ、ここの声がかわいくてかわいくて、わたしもこの歌は口ずさめるように練習する必要ありと強く思いました。

ひとつ前にみた『さくらん』と比べちゃいけないけど、でもドラマじゃなくてちゃんと映画を感じられる、日本ならではのテイストと実力が見事に融和していて、ほんとうに素敵な映画になっていました。また、すぐにもう一回観たいな。この世界に入りたいな。