いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと (2009)
アメリカでひとりの大学生が立ち上げた教育改善プログラム、Teach for America。優秀な教育を受けて、それなりの大学を卒業した新卒者たちを、アメリカ全国の教育水準のひくい学校へ2年間派遣する。本書はこのTFAがどのように現在までたどってきたのかをたどる。

今、教育、そしてビジネスを立ち上げることにものすごく興味があるから、この本に出会えて本当によかった。私のあたまの中ではまだ私が何をしたくて何をしなくてはいけないかごちゃごちゃしすぎてるけれど、でもこの本から私な自分に有益な何かは得られていると思う。以下、読後直後の感想メモ。

・Teach for Americaがやっていることは、日本で言う「塾」?
 →理由:大学進学を目指している、必要であれば学校時間外で勉強することが参照される、成績をポイントで図りより高い成果を求める(成果を数字で測るところ)、

・本当に「すべての子どもたちに」?
 →本の中で紹介される先生の派遣先は、NY、ロス、テキサス、フェニックスなど固定の地域ばかりで私になじみのふかいコロラドなんて一度も出てこなかった。やはり優秀な人は、それなりに基盤のある地域に派遣されているのだろうか? 派遣先はアメリカ全土ではないのか?

・学生が先生になるというのはすごく賛成、いいコンセプトだと思う。
それは「教員免許」を持っていなくても、立派に教師ができるということを示してくれている。私も一瞬だけだけど日本の教員免許を目指してみたくなって、試験問題をみたことがあるが、実際に教育に関係あるのかまったく自信の持てない、暗記型の意味不明な試験だった。こんな試験のために時間をさくのは、時間とお金の無駄だと即判断し、教員免許を持たずに教える道を私は選ぶのだ!と強く思った。
日本ではそういう意味のない試験だったけれど、アメリカの教員免許の試験、もしくは授与までのシステムはどうなっているんだろう?現場で使える実践的な知識やノウハウを図るものになっているのだろうか?

・この本は教育をテーマにしたビジネスマネジメント本であり、根本的な教育の課題や問題に触れているわけではない。ビジネス本として新しいアイデアがひとつ。こういった企業や団体を立ち上げるときにはたいてい創立者、もしくは先導をきって活躍してきたリーダーたちがサクセスストーリーを本として作ることがおおい。ただ、この本にも再三書いてあるように、経営上で多くの失敗もあっただろうし、仲間の信頼を失うような判断や結果をまねくことだってそりゃあっただろう。そういった時間軸を共有しながら、リーダーとしての文章、いち参加者としての(この本の場合は先生に立候補した学生、もしくは運営スタッフ、つまり平社員)文章を並行に読める本があるといい。
本書は組織を率いてきた、ウェンディの一人称で語られているが、さまざまな人がさまざまな立場でかかわってきたはずだ。そういう、ほかの立場のひとの意見をリアルタイムでシェアできるような本があると、さらに読者にとって立体的な読書体験を与えることができるのではないかと思う。
(これは我ながら画期的なアイデアだと思う)