『真夜中の5分前』 本多好孝
A-side, B-sideの2冊構成。すぐ読める。こんなにスンナリすうぅっと読める文章があったのか、と驚くほどスラスラ読める。憧れの"斜め読み"もできちゃっているかもしれないスピード。いろんな設定そのものが自分の生活や価値観に近いものが多いからかな。『たけくらべ』は1ページ読むのに10分位かかるのに・・・。(そもそも古文が苦手なのがいけないのだろうけど)「世界に同じ遺伝子を持つ別人(一卵性双生児)が存在するってどんなものか分かる?」という少し不思議なヒロインと、クールで会社で嫌われつつも仕事は確実に(自己流に)こなす、そして未来に対しての夢や希望があまり見られないいわゆるちょっと冷めた主人公。おもしろいなと思ったのは、普通ならそこまで自己が同一する双子なんて居るわけないじゃんという感じなんだけど、それを「あり」にしてちゃんと展開していくところ。こんなの小説家さんならあたりまえの作業なのだろうけど、でも私にとって非常に読みやすいレベルの砕いた文章でしっかりと背景や状況をふまえて展開させていくところ。それだけではなくて、冷めてるこの主人公は誰にでも当てはまるありきたりの一般人なのだけど、その思考や行動がちょっとだけズレているのが面白いんだよね。ちょうどいい具合にフィクションが効いてるのだね。丁度いい具合ってかなりいい加減な基準だけど、私的にピッタリすんなりフィットする心地よいフィクション感ってことね。控えめなくらいが丁度いいってやつ。私もスポーツジムじゃなくて、公共プール派になろうっと♪

http://media.excite.co.jp/book/news/topics/114/p08.html
豊崎社長の評価は低いみたいね。村上春樹先生のマネじゃん!双子だぜ!ってね。確かに・・・。