多読術 (2009)
松岡正剛

200ページくらいの本だけど、久しぶりにスルスルーっと読んでしまいました。本当はこんなにスルスルと読めるべき情報量ではないのよ。でも紹介されている本や著者をいちから調べていたら、それこ本書で言われている「無知から未知へ」を展開していたらね、とてもじゃないけど、「これをちゃんと読んだゾ」という満足感は1年や2年では味わえないでしょうね。(当たり前だけど)本には決まった読み方はないと書かれていたので、私は自分の頭の中で捉えられるものだけを自然吸収するスタイルで読んだワケです。いやー、そしたらね、おもしろいのなんのって。書かれていることは自分の頭の中では分かっている事ばかりなんだけど、それをよくもまあここまで掘り下げて、丁寧に、それも分かりやすく文章にしてくれているということがすごい。何でもかんでも「編集」という概念に結びつけてしまうのはちょっとまだ理解できないところもあったけれど、でもとにかくすでに私の中にあるアレやコレやといった価値観・概念にペタっと内容が溶け込んでいく感じにはびっくりした。

いつどこで、どんな環境で、自分がどんな状態でその本を読んだか、が「読書」全般に関係してくるのだ・・・みたいなことが書いてあったけれど、この本を読んだ一日にはいろんなエピソードがあったのでそれを書いておこう。
まずは朝の通勤電車。起きてから30分後には電車に乗っているという、女子としてはなかなか優秀なスピードで始まる朝(女子失格っていうところが本音)なのだけど、朝はまだ頭が眠くてとても読書をする気分にはなれないのよね。それに前日の夜中やっとAmazonから届いたCDをiPodに入れてスタンバイさせていたので、朝のエンタメはiPod担当。Camera Obscuraを聴いていたんだけど、なんともゆるやかな雰囲気。と、そこでちょうどその前日に誰からか「私は音楽を聴きながら読書ができないのだ」と強く言い放たれたのを思い出して、「このくらいの曲なら読書できるんじゃないか」と急に手元にあったこの『多読術』で試してみることに。そしたらさ、このCDはヒジョーに読書と愛称がよかったのよ。「読書」にあう曲というべきか、もしくはちょうどこの『多読術』的なノリの本とマッチする曲なのかは全然分からないけれど、でもそうだったの!すごく本が読みやすくなっちゃったの、音楽のおかげで。
次は昼休み。この日はスパゲティが食べたくなって社員食堂のたらこスパゲティを食べる。冷凍パスタってすごいよね、1分くらいの湯で時間でちょうどいい堅さになるんだもん。「冷凍パスタって本当にすごいなー、不思議だなー、しかも結構ちゃんと芯が残っていておいしいじゃん」と思いつつ、本を片手に"たらこ足したパスタ"(音楽のフレーズの一部)をもぐもぐ食べる。食べ物の堅さって、その時の読書にすごく関係があるように思うんだけど、このスパゲティの堅さがちょうどいい具合でまた読書がススム、ススム。食後、残りの休憩時間も100円コーヒー一杯で食堂の居場所を確保し、さらに読書はススム、ススム。「はぁ、面白いなー。もっと読みたいなー」と余韻を残しつつオフィスに戻って、20分後。電話がプルルー、プルルーとなり、私が呼び出される。用事は狸ボスが大切な打ち合わせに忘れ物をしたので品川まで届けにこいとのこと(タヌキちゃん、忘れ物多いのよー・・・)。でもこれでまた移動中に読書ができるので、ラッキー!!ルンルン気分でお届けモノを配達。往復時間の約60分は読書に充てる。ひひひひひ。ちょうどこの辺で本編が「編集工学」の話に入りはじめて、段々と意味が分かりずらくなってくる。
そして待ちに待った帰宅時間。いつもより少し早く9時に退社。さあて本を読もうと思うと、帰宅ラッシュの駅構内は人の会話が妙に耳に入ってきてしって、ダメダ。全然集中できない。だってね、大学生くらいの男子3人組の会話「おまえさー、元カノに会えなくて寂しくないの?」って1人がもう1人に聞く。はぁー??えぇー??元カノって前の彼女だから寂しくなるわけないじゃん、バカな会話・・・と思っていたら予想外の答え「そろそろねー」。ポカーン、よく分からない・・・。次。ホームから電車の中に移動。三人がけの席、カップルが二人で座っている(と言うより、女子が男子にくっついている。寄りかかるとか寄り添うっていうレベルじゃなくて男性にくるまれるようにくっついている。)。よく見なかった私も悪いんだけど、その残りの1席に座ってしまったー!そしたら二人の会話がまたまた耳寄りな会話で、全然本に集中できやしない。女子:ねー、知ってる?女の子の愛情の方が男の子のより濃厚らしいよ。強いんだって、重いんだって。知ってった?男子:うん。知ってるよー。・・・もごもごもご・・ここで何を言っていたかは正確に覚えていないんだけど、とにかく聞き捨てならない雰囲気だったのは確か。まったく色んな人がいるもんだー、なんて思っていると今度はJRお決まりの、それも私が早く帰れる日には必ずといっていいくらいお決まりの、人身事故発生。ガーン、ボーン、ドーン。せっかく早く帰れると思ったのにーぃぃ。でもそんな時間もあって読書がススム。何度か乗り換えて最後に乗った電車。これが駅から始発だったので見事に座席をゲット。それまでに人の会話に邪魔されて全然いい気持ちで本が読めなかったので、これは朝の教訓を生かしてiPod併用作戦で行こうと耳にイヤフォンを入れる。と、隣に座ったヒョロヒョロのおじいさんが親指と人差し指で何かつまむようなしぐさを私に見せてきた。ナンでしょうか?と思ったら「音量をスコーし下げてね」の合図だったみたい。つまむしぐさはその「スコーし」の表現だったのね。ごめんね、おじいさん。音量を下げて音楽を聴きつつ、本を読んでいたんだけど、そのおじいさんが妙にこちらをチラチラ見てるんだよね。きっとこの子は音楽なんか聴きながら本当に本が読めているんだろうか?とでも思ってたんだろうね。いやいや、帰宅時間の電車の中ではこの方が読めるんですよ、私も今日はじめてよーく分かりました。おじいさんもいつか試してみるといいよね。
次。家に帰ってきてからはお風呂で読書しました。ここでやっと最後まで完了!んー、ヒジョーにいろんな出来事があったんだけど、それぞれが「読書」にまつわる感想のある出来事だったのでおかげさまで妙にインパクトのある一日でした。
ゲゲ!!気が付いたらこんなにくだらないエピソードで相当な長文を書いてしまっている。笑える、でもこれで正剛さんのついつい書きすぎてしまう気持ちも良く分かるな。この出来事がおきた昨日の時点でコレを書き留めていたらもっとたくさん、もっと詳しくかけたのにな。でもいつもとは違った読書感想がかけてよかったな。